光を溜め、解き放つ!
それって、出でよ光牙とレベルかわらないような。
…ということがもうちょっとしたら現実になるかもしれません。
ただ、光を溜めるといっても本当に溜められるわけじゃないのではないかと。
光をどのような形で溜めたいかによって溜める手法は変わってきます。
そもそもね、35億年前から藍藻は光を溜め続けてきたわけですよ。ずっと。
藍藻のエネルギー転換効率は4%…それもエネルギー系から有機物に転換する
と考えると想像を絶する値です。
人間がやるとしたら…太陽光発電で電気分解して水素を…でも水素扱いづらいし
輸送にも困難が伴うし…やっぱ藍藻すげぇ。
そんなすさまじい数値になった理由ですが…おそらくはるか35億年前、今の地球は
そんなに光が届かない環境だったと考えられます。
(少なくとも今より雲ばっかり…外から見たら金星みたいな感じだったかも。
青い地球ではなかったんじゃないでしょうか、どちらかといえば)
で、有機物がない状態から有機物を作るためそのような進化を遂げたのでしょう。
じゃあ我々はどうしたらもっと効率よく光を溜められるのか?
バイオ燃料っても、植物の体全体使えないなら全くの無駄。可食部を使うとかアホだろ?と個人的恨みこめつつ
そういうわけで、藍藻とかC4植物は置いておいてですね。
エネルギーとして溜めるのには水素はあんまり向いていないという気がしています。
何故かというと、もれやすい上安全に扱える手段が少ない。
空のタイタニックといわれたヒンデンブルク号も水素を浮力を得るために使っていた
ため、炎上してしまいました…アレがヘリウムならあそこまでにはならなかっただろ。
そういうわけで、最近注目されているのがマグネシウムです。
太陽光をレーザーに転換し、そのエネルギーでマグネシウムを精製。
で、後は使いたいときに使えばいいと。
火でもつけない限りいきなり反応もしなけりゃもれもしない。すばらしい。
東京工業大学の矢部孝教授らのチームが研究を行っている。
どっかで見たなこの人たち…ってレーザー推進の人だ!!
ただ、酸化マグネシウムはマグネシウムより重いです(酸素が加わるため)。
つまり走れば走るほどデッドウェイトが増えるので車には向かないかもしれない。
逆に小型なものならカセットコンロみたいにしてもいいし、ガスボンベではなく
マグネシウムタンクを使う。水素なんか使わなくても光や熱エネルギーに転換。
これ以上地球に優しいものはないはず。(水素だって水蒸気になります、
よって温暖化の原因にもなるはずです)
さてはて、それ以外にもう一つ光を溜める方法があります。
こちらはどちらかというと光の持つ性質を利用しての情報科学の分野のお話。
もう既にその性質は使われていますよ…光ファイバーケーブルで。
そしてこれから、その性質をコンピュータに用いるというお話です。
え、そんなことできるの?って人もいるでしょうが、光があるときとないときを
1と0と換算してやるのなら、電子と同じようなものです。
ただ、その取り扱いがそんな簡単ではない。
真空中では光は直進します。おまけに物質を透過する際には、その一部が吸収され
エネルギーとなり出力低下…光ファイバーでも現実的には減衰していく光を
再度シグナルとして送りなおすターミナルがあるわけです。
ではどうやって光を溜めるのか?
まず光は波の性質を持つため、干渉を起こしたり回折したりと、曲げられることは
曲げられるし、反射だって起こす。プリズムとか鏡で出来るわけです。
ただ、普通にそういった物質を使うだけだと、減衰率がえらいことになります。
なもんで、干渉やら回折でなるべくエネルギーを失わないようにするには
どうすればいいかというのが最大の問題でした。
そんな中光を透過させたりさせなかったりする、電子に対する半導体のような存在に
人類は気がつくこととなりました。いわゆるフォトニック結晶である。
半導体と同じということは…感の鋭い人ならお分かりだろうが、うまいことつくって
やれば光を元とした回路を作ることが可能となる。
そうなると光速だから今までのコンピュータの比じゃない演算能力を誇るマシンだって…
でもそう簡単にはことが運ばない。光の回折・散乱・干渉を全て利用する結晶…
結晶にあける穴の大きさが、フォトニック結晶では200ナノメートルというものすごく
小さなものである。こんなもんどないしてあけりゃいいんだよ。
一応1887年にはレイリーが簡単なフォトニック結晶(ブラッグミラー)を作成し
レーザー研究の基礎となった。それから100年。
1987年にヤブロノビッチが出した論文でより複雑なフォトニック結晶も作成が
可能であるということが発表され、それから1990年代には実際にフォトニック結晶を
作ることに成功している。
さらに21世紀に入ってからは怒涛の勢いで、さまざまな方向からのアプローチが
かけられているわけである。大阪大ではかなり前から研究が行われているが、
東京大とNTT物性科学基礎研究所で研究されているフォトニック結晶の一種
フォトニック・アモルファス・ダイヤモンド構造が持つ性質がひょっとしたら
有望株かもしれない。
(どっちかって言うとフォトニック液晶ダイヤモンド構造、のがいいか?)
http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/publication/topics/2008/080109press.pdf
いずれにせよ、実用化というところまでは残念ながらすぐには行かないだろうけど、
20年後くらいに光コンピュータが出来るかもしれない、そしてそれはおそらく
その頃には限界に達している普通のコンピュータの演算能力を突破できる。
…そのころまでこのサイトがあったらもう一回説明するね。
…と思ったけどその前にだ。
蓄光塗料のお話をしようと思う。蓄光の原理は原子を取り巻く電子が、
光や電磁波の影響で遷移して、エネルギーが高い状態になり、
そののちその電子がゆっくりと宣しつつ光を放つ、というものだ。
いまからざっと千年前、ある日本人の絵師が、世にも奇妙な絵を
中国の皇帝に送ったそうだ。
「昼間は全く見えないが、夜になると光輝く牛の絵」
どうやら貝由来の塗料らしいけど現在ではロストテクノロジー。
参考(根元特殊化学):http://www.nemoto.co.jp/jp/column/01_watch.html
で、その塗料はどうやら牡蠣の殻と硫黄から出来るらしい。
世界初の蓄光塗料を作ったのは日本人だとしたら面白いな。
そのあと1764年にカントンという研究者が再現した模様。
日本には牡蠣も硫黄もふんだんにあるからどこでどうなってそれを
知ったかは知らないが、おそらくそうやって作ったんだろう。
http://www.nemoto.co.jp/jp/column/12_yako.html
でも1898年以後、キュリー婦人らがラジウムの精製に成功して以後、
ぶっちゃけ夜光塗料は放射性物質に置き換わってしまった。
最初の蓄光塗料から2000年後、根元特殊化学という会社の青木康充研究員が
アルミン酸ストロンチウムを主体とした放射性物質フリーの超明るい蓄光塗料を
完成させ(後のルミノーバである)、世界シェアを奪い返したと…なんという
壮大なストーリーだ…蓄光関連と日本は本当に深いつながりがあるといわざるを得ない。
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